皮膚によくできるできものに粉瘤(ふんりゅう)があります。
皮膚の下に袋状のものができてその中に角質がたまります。全身どこにでもできますが
背中など見えにくい場所では大きくなってから気づくことがあります。
良性のできものなので、病院にかかったときに放っておけばよいと言われることが多いです。
小さなままで経過する場合もありますが、徐々に大きくなってきたり、中にたまった角質に
細菌感染をおこして赤く腫れる場合もあります。
細菌感染を起こすと非常に痛く、皮膚を切開して中の膿を押し出す場合もあります。
この処置は局所麻酔をしても非常に痛く、
しばらく連日の通院での処置が必要になるだけでなく、中にたまった膿を押し出しているだけで
肝心の袋は残ったままになります。皮膚の下の袋を取り除かない限りまた同じ痛みを繰り返す可能性
があります。感染をおこした場合は炎症がおさまって2ヶ月以上あけてからあらためて袋を取り出す手術が
必要になります(感染中、直後は手術をしてもきれいに取り切れないことがあるため)。
粉瘤をみつけたら、感染を起こす前、大きくなる前に手術で袋ごと取り除くのが無難だと思います。
感染する前の粉瘤は最小限のきずあと、痛みで根治することが可能です。
手術費用(保険治療)もサイズが大きくなるほど高くなります(Q&A参照)。
粉瘤Q&A
Q 粉瘤はなぜできるの?予防法はないの?
A 粉瘤ができる明らかな原因は現在のところわかっておりません。
そのため予防法もなくできるだけ小さいうちに手術でとることをおすすめします。
Q いつ取るのがいいの?放っておいてはだめなの?
A 良性のできものなので急いでとる必要はありませんが、放っておくと
大きくなって感染することがあり、膿みをだす痛い処置が必要になる場合があります。
その場合袋がまわりとくっついたり、手術のきずあとも大きくなるので
感染する前の小さいうちに取るのがよいかと思います。
Q 以前に切ってもらったのにまたふくらんできた。切っても再発するの?
A 以前切ったという場合、多くは穴をあけて中にたまっている膿みを押し出しただけ
で中にある袋は残ったままになっています。その場合再び袋の中に角質がたまって大きく
なってきます。完全に治すには袋を取り出すという根本的な手術が必要です。
Q 手術は痛いですか?
A 手術は局所麻酔の注射を手術部位に直接注射してから行います。注射の痛みはありますが
手術中に痛むことはほとんどありません。術後は麻酔が切れると痛みがでてきますが、屯服の
痛み止めを飲むことでおさまります。何日間も痛むことは通常ありません。
Q 手術時間はどのくらいかかりますか?
A 小さいものだと10分くらい、大きくて以前感染したことがあるようなものでも30分くらい
で終わります。
Q くり抜き法とはなんですか?切除法とはどう違うのですか?
A 通常は粉瘤の真上の皮膚を紡錐形に切って袋を取り出して直線状に皮膚を縫合します。
くり抜き法は小さめの穴をあけて中にたまっている角質を押し出して袋を縮めてから、穴から
袋を引き出すという方法です。小さなきずあとですみますが、小さな穴からの操作になるので
袋の除去の確実性は切除法よりも劣ります。特に以前感染をおこしたことがある場合では袋が
硬く周囲にくっついていることが多いのでおすすめできません。
Q 手術費用はどれくらいかかりますか?
A 露出部(顔や肘下、膝下など)ですと2cm未満で約9,000円(3割負担、病理検査含)、
2~4cm未満で約16,000円です。
非露出部(背中など服で隠れるところ)ですと3cm未満で約7,000円(3割負担、病理検査含)、
3~6cm未満で約13,000円、6cm以上で約16,000円です。
(多くの医療保険の手術給付金の対象になります)
Q 手術のあとはどれくらい通院が必要?
A 通常は翌診察日にガーゼ交換、1週間前後で抜糸、1か月後に最終確認(病理検査結果お伝え)
という通院日数になります。
Q 手術のあとに注意することは?
A 手術当日は出血しやすいため、なるべく安静にする、入浴・飲酒は控える必要がありますが
翌日からは入浴や創部に負担がかからない日常生活、軽作業は可能です。背中や肩、脚などは皮膚の
緊張かかりやすい部位なので術後2週間は激しいスポーツ(筋トレ、ゴルフ、野球など)は禁止です。
Q きずあとは目立ちますか?
A 部位や大きさにもよりますが、顔・からだのシワに沿ったできるだけ最小限の目立ちにくいきずあと
になるように切開、縫合します(当院では形成外科専門医が診察から手術まで一貫しておこないます)。